ファン・クラブ考

本を出して書店に積んでおけば勝手に売れるという時代は当の昔に終わっています。本が売れなくなったと人々は嘆きますが、それはインターネットなどのメディアの数が増えた現状に業界が対応していないからだと思います。あまりに読者をないがしろにした出版物が多いし、読者が欲しいと思ったものが正しく読者に届いていないのです。また、本を売ったあとの読者とのつながりを大切にしていない点も反省しないといけないでしょう。旧来のやり方を根本的に変えないといけないところに来ているのです。

オーディエンスを育てるということも、『ミクロコスモス』の目標の一つとなっています。そこで、ひとつの案としてファン・クラブというのを昨日ここに書いたわけです。このファン・クラブというアイデア自体は非常に古いものです。とくに音楽業界などではよく見かけますが、人文書の世界には稀なものだったのではないでしょうか?

現在では版元売り切れ、そして書店での売り切れも間近の『ミクロコスモス』を買っていただいた方々を大事にしたいというのが僕の願いです。次号を早くお届けすればよいのかもしれませんが、本当に良いものを作るためには時間がかかります。そのあいだ、ファンとなっていただいた方々をただただ待たせておくのは、よろしくないと思っています。もっと寄稿者のことを知りたい、もっと書かれている世界について知りたい、もっと『ミクロコスモス』というコンセプトそのものを理解したいという人々のために何かよいコミュニケーションの手段がないのか?この疑問への答えのひとつが、ファン・クラブのアイデアなのです。どうでしょうね?