紹介 フィチーノ

フィチーノ (平井浩・訳) 『光について』

序文
1. 世界の身体、霊魂、天使、神の中における光とは何か?
2. 可視的な光
3. 光と神ほど明瞭なものはなく、不明瞭なものもない
4. 可知的な光は可知的なものの原因
5. 可視的な光、理性の光、可知的な光、神的な光
6. いかにして可視的な光から不可視光へと上昇するか
7. 諸星辰は笑い、輝きと運動で歓喜の身震いをする
8. 神意の喜びによって起こされた天の笑い
9. 光は非物体的であり、星辰的な本性の現実態である
10. 光は熱に先んじる
11. 光は宇宙の絆である
12. 光は神を真似る
13. 光の霊魂や天使との類似
14. 神、天使、理性、精気、身体のなかにある光
15. 霊魂は光と呼ばれる
16. 光はいわば可視的な神意である
17. 神的な光の下で幸福なる者と哀れなる者の様子


翻訳のコーナーの第2弾は、フィチーノの晩年の小品『光について』 De lumine (1492年) の試訳です。この『光について』は、『太陽について』 De sole とペアをなすもので、フィチーノの哲学が数頁のなかに凝縮されています。ルネサンスプラトン主義哲学のエッセンスが閉じ込められている宝石といってもいいでしょう。これに先行するゴルトアマーの論文のなかでも取り上げられていますし、僕のデュシェーヌ論文や平岡君のコペルニクス論文にも関係してくるかと思います。中世スコラ哲学をしらないと理解が難しい部分も少々ありますが、まずはフィチーノ独自の詩的な感覚と遊び心に満ち溢れる議論展開を肌で感じて楽しんでください。